NAGOMU × 食団連新潟県支部 合同セミナー&交流会 開催報告

「インバウンドに頼らない繁盛店の作り方」×「飲食店と行政連携のあるべき姿」
- 名古屋と新潟で“共通の旬の課題”をクロストーク

2026年3月10日(火)、食団連新潟県支部は、名古屋の飲食団体 NAGOMU をお招きし、合同セミナー&交流会を開催いたしました。会場は ジョイアミーア。当日は県内外から約60名の飲食事業者・関係者が集い、熱量の高い学びと対話の時間となりました。

今回のテーマは、いま地方の外食産業が避けて通れない二大論点ー
インバウンド特需に頼らず、地域で繁盛店をつくるにはどうするか
飲食店と行政が連携し、産業として前に進むための“あるべき姿”とは何か

新潟と名古屋。観光都市の中心地とは違い、「インバウンドが“あるようでない”」「観光資源の見せ方に課題がある」といった共通点を持つ地域だからこそ、議論は非常にリアルで実践的なものになりました。

開催概要

日時:2026年3月10日(火)
【セミナー】16時〜
【交流会】18時〜
会場:ジョイアミーア
(〒951-8065 新潟県新潟市中央区東堀通1016−1 東堀斎藤ビル東堀パーク600 1F)
主催:食団連 新潟県支部
参加者数:約60名(飲食事業者、自治体関係者、賛助企業など)
形式:NAGOMU 研修・交流ツアー「Cross Talk(スペシャル対談)」新潟開催
主催:食団連新潟県支部
共催:NAGOMU(食団連愛知県支部を委託運営)

開催趣旨

「新潟の外食産業を、次のステージへ」

食団連新潟県支部では直近数か月、活動を初めて知っていただく方向けに“入口のセミナー”を連続開催してきました。
一方で今回は、食団連の意義を理解し、すでに活動に関わり始めている皆様(コア層)へ向けた、次の学びとして設計した回です。

35年の歴史を持つ飲食団体NAGOMUの知見と、名古屋・新潟の実践者のリアルな経験を掛け合わせることで、
「新潟をどう活性化させるか」
「地方で繁盛店をつくり続けるために、経営は何を“仕組み化”すべきか」
「行政とどう繋がり、どう業界の声を社会へ届けるか」
を、具体の打ち手まで落とし込みました。

登壇者

【第一部】インバウンドに頼らない繁盛店の作り方

NAGOMU 副理事長/株式会社ブルームダイニングサービス 代表取締役 杉村 明紀 氏
株式会社Bit 代表取締役 秋山 武士 氏

【第二部】飲食店と行政連携のあるべき姿(外食産業の課題と未来)

NAGOMU 理事長・食団連愛知県支部長/株式会社イートジョイ・フードサービス 代表取締役 桜井 博教 氏
食団連新潟県支部長/株式会社イデアル 代表取締役 和田 亮 氏

振り返り

【第一部】
「インバウンドが少ない地域」こそ、ブランドの本質が問われる

冒頭、インバウンドデータの共有がありました。
新潟は推定35位で、来訪理由も“スキー中心”という現実。名古屋(愛知)も統計上は上位に見えるが、名古屋市単体では限定的で、繁華街の一部に偏る傾向がある。この前提により議論の軸が明確になります。

「インバウンドが来ないなら、内需(地域・県外の日本人客)で選ばれ続ける仕組みをつくる」

この一点に、経営の工夫は集約されていきました。

秋山氏(株式会社Bit)
「新潟の魅力を外で発信し、新潟に送客する」

秋山氏の話は、“地方での繁盛”を、県境の内側に閉じないスケールで捉え直す内容でした。

  • 新潟は人口減少が進む。県内だけで「待つ」戦略では限界が来る
  • 東京へ出店することで顧客をつくり、東京から新潟へ人を送る
  • 食材だけでなく、カトラリー・器・飲み物まで新潟に寄せることで、「新潟に来た意味」を体験に落とし込む
  • 海外のトップレストラン体験から学ぶのは、料理だけでなく“演出”や“体験設計”
  • 最後は「諦めない」
  • 新潟のためにやり続ける意思が、理念と経営を一直線にする

特に印象的だったのは、「新潟で待っていても伝わらない。外で発信し、外で顧客をつくり、結果として新潟に還元する」という設計思想です。
これは“出店戦略”というより、地域の価値を流通させるための経営戦略として、多くの参加者に刺さる内容でした。

杉村氏(ブルームダイニングサービス)
「ファンづくり×CRMで“常連の価値”を最大化する」

杉村氏からは、チェーン経営の文脈でありながら、地方の単店経営にも転用できる“普遍の原理”が提示されました。

  • 事業の根本は「理念の踏襲」。引き継ぐ経営であっても、まず理念とルールに立ち返る
  • 新規獲得だけではなく、ヘビーユーザー(常連)を中心に利益構造を設計する(パレートの法則)
  • 「ファンづくり(アナログ)」と「CRM(データ)」をハイブリッドで回す
  • アプリやデータは“集める”がゴールではなく、顧客満足度・客層適合・体験品質(QSC)を数値で検証し、行動へ落とすための道具
  • 大事なことはオンラインではなく“場”。熱量の必要なコミュニケーションは対面で行う
    (社員・アルバイト向け勉強会+懇親会を継続)

「繁盛店をつくる=広告を打つ」ではなく、“すでに来てくれている人に、どう満足してもらい、どう関係を深めるか”
ここに経営資源を投下する視点は、参加者の次のアクションが非常に明確になる学びでした。

第一部の要点まとめ(明日から使える形に翻訳)

  • インバウンドが弱い地域ほど、ブランドの輪郭(誰に何を約束するか)が重要
  • “外で顧客をつくり、地元に送客する”という発想で人口減少を超える
  • 食材だけでなくプロダクト・文化まで含めて地域価値を体験にする
  • 新規獲得より先に、常連設計(CRM+ファンづくり)で利益と安定をつくる
  • 仕組みはデータで回しつつ、理念浸透は“場”で熱量を伝える

【第二部】
行政連携は「何かをしてもらう」ではなく「連携できる状態」をつくる

第二部は、業界団体としてのNAGOMUの歴史と、コロナ禍での名古屋モデル、そして新潟がこれから県全体へ広げていくための“連携設計”が議論されました。

NAGOMUの歩み
「団体が続くかどうかは“時代ごとのリーダーシップ”で決まる」

NAGOMUが35年続く背景として語られたのは、制度や仕組み以上に、「時々のリーダーが方針を立て、情熱を持って牽引してきた」というリアルでした。
団体は5年で衰退しがち。その壁を越えるには、“誰が”ではなく、「次の時代に必要な役割へ更新し続ける」こと。
食団連新潟県支部が二年目以降に直面する課題とも直結し、参加者にとって“組織運営”の学びにもなりました。

名古屋モデル(コロナ禍)
「数(アンケート)を束ね、行政と対話し、現実を動かす」

コロナ禍、助成の制度設計は県に委ねられ、県によって支援の有無や厚みが変わりました。
その中で名古屋(愛知)では、飲食の実態を行政へ届けるために、より広く巻き込む形で組織を束ね、対話を重ねた経緯が共有されました。
ポイントは“圧力”ではなく、行政側も実態を知らないからこそ「実態を共有する」ことが交渉の土台になるという点。
そして最も実務が進むのは「課長」層であり、こことのパイプが重要であることも具体的に語られました。

新潟の現在地と次の挑戦
「新潟市から、新潟県全体へ」

食団連新潟県支部としての一年間は、「何かをした」というより、行政といつでも連携できる関係性(関係値)をつくる一年だったことが共有されました。
さらに今後の課題として、

  • 新潟市の活動に留まらず、県全体へどう広げるか
  • 新潟県が描く観光施策と、新潟市が志向する地域ガストロの方向性の違い
  • 佐渡・村上・長岡・上越など、各地との接続をどうつくるか

が提示され、支部として次にやるべき輪郭がより明確になりました。

行政連携の“理想形”
3層構造が、参加者に最も刺さった

第二部の終盤、行政連携のあるべき姿が、非常に分かりやすい「3層」で整理されました。

  • 国レベル:業界団体+政治団体(ロビー活動)の構築
  • 県・市レベル:いつでも相談されるパイプ(対話できる窓口)
  • 現場レベル:投票に行く(政治を動かす力を自覚する)

この整理は、経営者だけでなく、スタッフや若手に伝えるべき“共通言語”にもなり得る内容でした。

交流会

学びが“関係”に変わる時間

18:00からの交流会では、第一部・第二部の内容を受けて、参加者同士の気づきの共有や質疑応答が活発に行われました。
セミナーは「理解」で終わると日常に戻ってしまいます。
しかし交流会で“具体の悩み”と“具体の打ち手”が交わされたことで、学びは各店舗の次の行動へ接続されていきました。

今回の学び(総まとめ)

今回の合同セミナーは、単なる成功談ではありませんでした。
「インバウンドが少ない」「人口が減る」「コストが上がる」という地方の現実を前提にしながら、

  • 繁盛を“仕組み化”する(常連設計×CRM×理念浸透)
  • 地域価値を“体験化”する(食材+プロダクト+文化)
  • 行政と“対話可能な状態”をつくる(パイプと連携構造)

という、外食産業が未来へ進むための骨格が提示されました。

「次は参加したい」と思っていただけるとしたら、それは——
この学びが、“聞いて終わり”ではなく、次の売上・採用・育成・地域連携に直結する手触りがあったからだと思います。

次回以降のご案内

食団連新潟県支部では、今後も定例の勉強会・交流会を継続開催し、「会員同士の学びと連携を“実務に落とす場”」として育てていきます。
詳細はHPおよびLINEオープンチャットにて順次ご案内いたします。

未参加の方も、次回ぜひお気軽にご参加ください。
お問い合わせは、食団連新潟県支部(事務局)までご連絡ください。